みんな、いろいろあるよね。
曇り空がどうにか持ちこたえた、木曜日。
朝からバタバタ家を出る。
用事を済ませにコンビニへ。
店内はすいていたけど、ここ、車が出にくいんだよね。
出入口すぐそばに信号があって、コンビニ前にズラリと通勤ラッシュの車が並んで……。
案の定、店の前の道路には車がいっぱい。
まあ、そのうち車も切れるさ…と待ちを覚悟していたら、前を開けて道を譲ってくれた人がいた。
朝の忙しい時間なのに、譲ってくれる心の余裕。
とても嬉しくて、頭を下げて、ハザードも忘れずに点滅させて「ありがとう」の言葉を伝えた。
こんな日は、いいことありそう。
いや、もう、あったんだった(笑)
職場に着くと、昨日休みだった受付さんが、つつつ、と寄って来た。
「おかげさまで、昨日無事転院しました」
受付さんから、がっちゃんの入院している病院について聞かれたことがあった。
彼女のお母さんも、救急病院に運ばれて転院を考える時に、がっちゃんの病院が候補に上がったと相談されたことがあった。
「とてもいい病院だよ」とおすすめしておいたから、同じ病院になったと聞いて何だか嬉しくなった。
入院セットのことや、オンライン面会のことも話した。
家族の長期入院は、本当に心の重たいものだから、少しでも知っている人、様子を共有出来る人がいると、お互いに安心出来る気がする。
受付さんが、グッと身近になった気もした。
同じフロアに、やはりお母さんを介護している人がいる。
お母さんは末期がんで、病院に入院してしまうと、コロナ禍の今、面会も出来ずに寂しい思いをさせるのが辛いと、別居だったのを引き取って、家で看ているのだという。
少しボケも入って来て、子供に返ったように駄々をこねたり、夜中に痛みが酷くなったりして大変なのだという。
「可哀想にと思う反面、もう私も疲れてイライラして、酷いことを言ったり、クソババア!って思ったりしちゃうんだよね…」
とても辛そうに、打ち明けてくれた。
「無理しないで、休める時にちゃんと体を休めてね」
きっとアタシだって、体の不自由ながっちゃんを家で介護していたら、身も心もボロボロになっていただろうなと思うから。
だからとても、他人事とは思えないのだ。
仕事を終えると、もうすっかり薄暗くなるようになって来た。
あわよくば、外を走ろうとか思う気持ちはいつも、消えていく……。
がっちゃんが倒れてから、コロナもあってすっかり自粛。
退勤後にジムに行っていた頃は、真っ暗な夜の道を帰るのが当然だったけど、今は少しでも明るいうちに家に帰りたいと思ってしまう。
いつまでも、平凡で穏やかな毎日だったらいいのに。
小さな誰かの優しい気持ちに、嬉しくなれる毎日だったらいいのに。
本当に、いろいろなことが、あるよね。
それでも、生きている毎日を喜ぼう。
今ある小さな幸せを、感じていこう。