追憶の車内おにぎり
真っ白な心で始まる水曜日。
昨日の出来事が嘘のように、今日はスムーズに流れていく。
昨日、ブログにムカついた思いを書き出したからか。
人間関係も平穏だった。
水曜日のお約束、がっちゃんとのオンライン面会。例によって、遅い昼休みに車を走らせる。
どうしても、1時間では戻れないので少しでも時間を稼ごうと運転しながらおにぎりを食べようと思うのだが、これがなかなか上手くいかない。
運転中のスマホが厳禁になった時、おにぎり食べるのはどうなんだろう?という話をジム仲間としていたことがある。
その人は、土曜日のスタジオにいつもギリギリで飛び込んで来た。
アタシは土曜は休みにして昼間のジムに来てたけど、彼女は午前中は仕事で、車の中でおにぎりを食べながら駆けつけるのだと言っていた。
「おにぎりも禁止だったら、どうしよう?」と彼女は本気で悩んでいた。
ちゃんと食べてから動かないと、具合が悪くなる。これはアタシも経験済みで、酷い目にあった。以来、どんなに時間が無くても食べることは最優先で。体の中にエネルギーをちゃんと仕込んでからトレーニング、というのが鉄則となった。
幸い、カップラーメンみたいに両手が塞がらなければ飲食はOKということが分かり、2人でホッとしあっていたっけ。
……しかし、運転しながらカップ麺食べるなんてツワモノ、いるの???
がっちゃんも、遠出する時、よくおにぎりを食べてたな。
コンビニで買ったラップ破って海苔を巻きつけるタイプのでも、器用にちゃちゃっとやっていた。
アタシがやってあげようか?って聞いても、大丈夫!って言ってテキパキと。
毎週、こうして車内でおにぎり食べようと奮闘しているのにさ、なぜか今日は、がっちゃんが運転しながら器用におにぎり食べてる姿を思い出して切なくなった。
もう、車の中で一緒におにぎり、食べられないのかな。
そんなことを考えてると、余計に手もとが怪しくなる。視界もにじむ。
でも!と思った。
思い出に囚われてちゃ、先に進めないのだ。
これから始まる、がっちゃんとの新しい生活をうんと楽しめるようにすること、考えよう。
もう必要のないものは片付けて、こっちも真っ白から始めなきゃ。
結局、今日も車内おにぎりに苦戦。
自分で作ってラップで包んだのでさえ、オタオタと手間取って食べられない不器用さ。
だから病院の駐車場で急いでおにぎりを口に押し込み、マイボトルのお茶で流し込むことになる。
そしてバタバタと受付へ。
「洗濯物と、面会お願いします!」と言ったら「面会ならお熱計りますね」とおでこにピッ!と体温計を当てられた。
面会って言ってもオンラインなんだけど。
あっ!えっ?もしかして、会えるようになったとか?
しかし、紛れもなく待合室に貼り出されているポスターには「面会禁止」の大きな文字だった。
そりゃそうだ〜、都会じゃ連日コロナ感染者が三桁だ。劇場が開いても、病院は絶対ダメでしょ!
いやいや、これが正しい対応と言うものだ、うむ。
今日は病室とのzoomがなかなか繋がらず、準備に時間がかかった。
何だか、こっちの方が恐縮してしまう。
病院の皆さん、忙しいだろうに、一生懸命。本当に頭が下がる。
そして今回も、がっちゃんは眠くて眠くて、少し目を開けてこっちを見たけど、痰がからんで目が覚めた、みたいな感じですぐまた眠りの中へ。
「さっきまで、ちゃんと起きてたんですよ〜」
看護師さんが一生懸命、名前を呼んでくれたけど、睡魔の勝ち〜〜。。。
今朝、がっちゃんは急に熱を出したそうだ。
あんなに暑い日が続いてたのに、雨が降り続いて急に涼しくなったからかな、無理もないよね。
元気印のジロだって、体調崩すくらいだもん。
がっちゃんはもっと、気温の変化に敏感だろう。
早く熱が下がって、体がラクになるといいね。
梅雨明け、もう一息だって天気予報で言ってたよ。
今週も、面会あっという間に終わっちゃった。
「くりるりさん、じゃ、また来週!」
看護師さんとソーシャルワーカーさんが、がっちゃんの代わりに言ってくれた。
そんな気がしてまた「ありがとうございました!」って思いっきり、頭を下げた。
また来週。
おにぎりより、安全運転。
今度こそ、起きてて欲しいな。